ストレートネックにもなるスウェイバック姿勢
スウェイバック姿勢とは、簡単にいうとお腹が前にでてるように見える姿勢で、骨盤が前方に移動している姿勢です(骨盤は前方に移動しますが、骨盤は後に倒れています)。この姿勢はストレートネックにも関係しており、腰痛や肩こりなどの色々な痛みを引き起こしやすいです。
この姿勢は、筋力をあまり使わないで立つことができるので筋肉的には省エネの姿勢ですが、だからこそよくありません。筋肉を使わないで支えるということは、関節の構造のみに頼って支えることですので、関節に負荷がかかりやすくなります。また筋肉を使わないで立てるので、当然筋肉がつくことはなく、逆に筋肉が衰える可能性もあるので、ますますスウェイバック姿勢に依存し筋肉が衰える危険もあります。
思春期ですでにスウェイバック姿勢
結論からいうと、思春期で3割くらいの人がこの姿勢になっているようです。ヨーロッパで行われた、思春期の子供たち1196人を対象とした研究では、約3割がスウェイバック姿勢で、約2割が骨盤が前方に移動した前傾姿勢、それ以外がニュートラルな姿勢でした。
このスウェイバック姿勢は、太ももの裏の筋肉(ハムストリングス)が硬くなりやすく、前屈の制限がある方に多い姿勢です。少し話は脱線しますが、63例を対象とした日本の研究では、前屈が制限されている子供(平均年齢11歳)の6割が胸椎の後弯が減少した平背だったという研究もあり、もしかしたら前屈が制限されている子供は小さいうちから太ももの裏の筋肉を伸ばすのは、脊柱には良いことなのかもしれません。
スウェイバック姿勢になると弱くなる・短くなる筋肉がある
姿勢が極端に偏ると、弱くなる筋肉と短くなり硬くなる筋肉が出てきます。これらは2つの原因が関係しています。まず一つは筋肉は適切な長さがなければ筋肉の力が発揮できないため、不良姿勢になると筋肉の長さの一部の長さが不適切になり筋肉が弱くなります。二つは、単純に姿勢が偏っているため、一方に縮んでしまう筋肉が出てしまうからです。
お尻がペチャっとなり、お尻の筋肉が使えない
スウェイバック姿勢になると弱くなる筋肉は色々ありますが、うちのお客様でよくある傾向は、お尻がペチャっとなり大臀筋が弱くなる人が多いです。特にスポーツをしている方は、大臀筋を使えず太ももの裏の筋肉(ハムストリングス)ばかり使うことになってしまうため、太ももの裏の筋肉(ハムストリングス)を痛めやすい傾向があるので、スポーツをしていてスウェイバックの方は注意が必要です。
また脱線しますが、高齢になってお尻の筋肉が使えないのは問題です。特に椅子に座る際にお尻の筋肉でのブレーキが使えずに勢いよく椅子に座る癖がついてしまい、どすんとお尻がついて、圧迫骨折になる危険もあるので、お尻の筋肉は必要です。
スウェイバック姿勢の原因の3つ
スウェイバック姿勢になる原因は色々ありますが、ここでは3つ紹介します。
習慣的に体が曲がっている
あまり運動せずに、習慣的に体が曲がっている人がなりがちなパターンです。このタイプの方は、背筋が伸ばされすぎて張力が低く、腹筋も弱い傾向があります。
このタイプの方は、背筋を鍛えるのと、お腹の外側の筋肉(外腹斜筋)を鍛えるのが重要で、お腹の中央の筋肉を鍛えすぎない(腹直筋)ことが重要です。
腹筋群が硬すぎる
腹筋が硬すぎると、お腹の筋肉が背骨を引っ張り曲がってしまうため、スウェイバック姿勢になりやすいです。このパターンの場合は、腹筋を伸ばして、背筋群をトレーニングすることが必要です。
前回の記事でも紹介しましたので、もし良ければご覧いただければ嬉しいです。
多くの人が間違う腰痛の体操
腰痛の体操は、腹筋を鍛えるのが必要ですが、どの腹筋を鍛えるべきか知っていますか?多くの方が腹筋を鍛える時に、仰向けで寝て膝を抑えて、真っ直ぐ上に上げるトレーニングをしています。これは腹直筋を鍛えるトレーニングで、腹直筋とはマッチョな人のお腹の真ん中で割れているところの筋肉です。
腹筋群が強すぎる
これは腹筋をとにかくトレーニングしてきた人に多く起こる傾向です。腹筋群が硬すぎるのと同じようですが、違いは背筋群が萎縮しやすい傾向があることです。これは普段姿勢を維持するときに、腹筋ばかり使ってしまうため、背部の筋肉が弱ってしまうことに起因しています。
このタイプの方は、姿勢を維持する際になるべく背筋も使うように意識して生活する必要があります。
腹筋と背筋力をつける簡単な方法
背中を伸ばす背筋力をつける
鏡を見てできる限り良い姿勢を維持して、肩関節を水平まで上げ(肩関節を90°屈曲)、その位置をキープすることです。このエクササイズをすることで、胸椎周囲の背筋を鍛えることができます。
腹直筋でない腹筋力をつける
仰向けで寝て、両足の膝を曲げて、片足ずつお腹に膝をつけるようにします。このときに上げていない方の足を浮かせたり、床につけることで負荷をコントロールすることもできます。こうすることで、腹直筋よりも、外腹斜筋に刺激を与えることができます。