腰痛のお客様は、よくコルセットをつけるのは、良いかどうかを聞かれることが多いです。どうしてそのように尋ねるのが聞くと、「コルセットをつけると筋力が落ちると言われてるから」、と多くの患者様は答えられます。よく聞かれる質問なので、今回は、このコルセットをつけることについて、書いていきたいと思います。
コルセットをつけても筋肉の低下は起こらない
コルセットをつけても実は、長期的に見て筋肉の低下が起こるといった証拠はほとんどありません。たくさんのコルセットの装着に関連した文献を分析し、検討した研究では(システマティックレビュー)、1〜6ヶ月のコルセットをつけて筋力が低下するという証拠はないと述べられています。(しかし、コルセットと筋力低下に関する信頼性の高い研究が少ないため、この研究の中で使われた研究自体の信頼性に若干劣る部分があると、最後に述べられています。論文名も記載しておきますので、もし興味のある方はご検索いただければ幸いです。)※ The impact of continuous use of lumbosacral orthoses on trunk motor performance: a systematic review with meta-analysis
コルセットを装着すると悪いと書いている論文の多くは、一日から数日程度の短期的な実験で、コルセットをつけて動くと正常の筋肉の動きとは違うため、コルセットをつけ続けるのは多分良くないと考察しているものが多く、実際の長期で見て結果を示してるものは少ないです。
痛みを我慢すると、周りの筋肉や組織に悪影響が出る。
痛みがあると、痛みがある部分だけでなく、周りの組織の状態が悪くなり、より痛みを引き起こす場合があります。
これは、交感神経が興奮し、血管が収縮し、筋肉への血流が阻害される場合です。こうなると、エネルギーや酸素が運ばれなくなるので、筋肉の動きが悪くなったり、発痛物質が生産されやすくなり、さらに発痛物質を流せなくなるので、さらに痛みが悪化したりする場合があります。
そして痛みは、身体だけでなく、心にも影響します。治らない痛みや、辛い痛みにより不安感を感じたり、動く意欲を無くしてしまったり、活動の幅を狭める場合もあります。さらに、動かなくなると、さらに筋力が低下して、ますます痛みが悪化する場合があります。
このように痛みは心身に悪影響が出るので、コルセットで少しでも痛みが緩和するのであれば、コルセットをつけて欲しいです。
コルセットの悪影響
コルセットを数ヶ月つけても筋力低下は起こらないとは思いますが、やはり、コルセット装着時に悪影響がでる可能性は決してゼロではありません。
例えば、コルセットの装着と非装着時で体幹の筋肉の働きを比べると、装着時の安静時は弱く、運動時は高くなることが知られています。この筋肉の動きは正常の筋肉の動きとは異なっているため、腰に悪い影響が絶対出ないとは言えません。また、過度な安静は炎症の治癒過程に置いて逆効果とも言われています。
よって、特に痛くもない時に、コルセットをつけるのはおすすめはできません。
コルセットの選び方
コルセットの種類は色々ありますが、私はまず100円のコルセットを勧めます。理由としては、安いことと、このコルセットで少しも痛みが変わらないようであれば、おそらく高いものを使っても痛みは変わらない可能性があるからです。コルセットにまず求められる機能は、腹圧を高め体幹の剛性を高めることと、腹部から腰部を覆うことなので、100円でも試してみるには十分です。
そして、効果があると感じたら、現在は市販のものでも、かなり良いものがあるので、薬局で良いものを探すのが一番良いと思います。ちなみに私がおすすめするのは、二重にお腹に圧迫かけられるタイプです。理由としては、圧迫をかければかけるほど、腹圧を高めることができるので、キツくお腹をしばれるタイプがおすすめです。ただ、お腹の圧のかけすぎは、お腹の血の巡りが悪くなり、内臓の働きが弱くなることもあるので、お腹の締めすぎにはご注意下さい。