肩こり、肩の痛み、肩の動きの悪さなど、肩の不調を見るときに欠かせない箇所の一つが、鎖骨周りです。そして、患者様の鎖骨周りをほぐすと、喜んでいただける患者様が多いです。
実は、鎖骨周りの硬さは、肩の動きに大きく関係し、また肩こりを引き起こす猫背や、巻き肩の原因になるので、鎖骨周りの硬さは肩の不調と大きく関係します。
今回は、肩の様々な不調に関係する鎖骨の機能や、鎖骨周りの簡単なケアについて、紹介していきます!
肩は鎖骨のおかげでくっついていられる
肩はどこからくっついているかを考えると、大概の人は肩と腕の付け根と答える人が多いですが、実は、鎖骨からくっついています。肩の関節の順番は、鎖骨→肩甲骨→腕の骨(上腕骨)の順番でくっついていますので、肩の根元は鎖骨です。
鎖骨は自由人!肩を上げる時は上がって、回る
鎖骨の動きは、上下、前後、回転を考えることが重要で、どの動きも腕や肩が動くことに重要な役割を果たします。
鎖骨の上下の動きについて
鎖骨は胸の骨(胸骨)を中心に、上下に動きます。上に上がれば、骨は肩の根元についてるため、肩も上がります。特に、この鎖骨の動きは肩の動き初めの時に顕著に見られますので、最初の動きができない場合は、鎖骨の動きがうまくいってないかもしれません。
鎖骨の前後の動きについて
鎖骨は胸の骨(胸骨)を中心に、前後に動きます。この動きは胸を張ったり、肩をすぼめる動作に大きく関係します。
鎖骨の回転について
次に、回ることについて説明する前に、その動きに関して重要な役割を果たす、鎖骨の形を考えてみます。鎖骨は、Z型の金具(または、クランクなど)のような構造になってます。
例えば、右の鎖骨が後ろに回れば、鎖骨の左端が固定されている状態なので、鎖骨が回ると、Z型の構造であるため、鎖骨の右端が上に上がります。そうすると鎖骨は肩の根元についてるため、鎖骨の端が上に上がり、それに続いて付着する鎖骨と肩甲骨についている靭帯の張力が緩みます。この靭帯の張力が緩むことで、適度に肩甲骨と鎖骨周りのぶつかりや、軋轢を避けることが可能となり、スムーズに肩甲骨を動かせるので、結果的に楽に肩が動かせるようになります。このように鎖骨の回転は、肩の正常な運動に関係します。
ちなみに、この鎖骨の回転は、肩を上がりきる直前の動きに大きく関係し、この鎖骨の回転ができないと、体の横から肩を上げた時に、ピッタと腕に耳がつくまで肩を上げ切ることが難しくなります。
また、先ほどは肩を上げる動作の例でしたが、肩をすくめる時は鎖骨は前に回転し、胸を張る時は鎖骨が後に回転します。
これらのように色々と肩の動きはありますが、回転の動きは、すべての肩の動きに関わる動きです。
体の後ろより前の方が、肩こりのマッサージに効く場合がある
肩こりのマッサージは、よく肩の上や肩甲骨周りをマッサージすることが多いですが、それよりも鎖骨周りや、胸周りをほぐした方が効果的な場合が多々あります。
この理由は色々ありますが、一番イメージしやすいのは、猫背や、前屈み、巻き肩などの肩こりを引き起こす悪い姿勢になると、体の前が潰れて、縮む姿勢になるからです。これらの姿勢になると、鎖骨周りや胸まわりなど体の前側の筋肉や皮膚が固くなるため、鎖骨周りなど体の前側をほぐすことは、こららの悪い姿勢に有効な場合があるからです。
他の理由は、肩周りについては、体の後よりも、前の方が神経や血管が通っており、その中でも特に鎖骨の周りにはリンパ節や、神経、血管が通っているからです。つまり、鎖骨周囲のこりは、リンパ、神経、血管の圧迫につながりやすいので、辛い症状につながりやすいです。
鎖骨のマッサージ
ここまで説明を長々書きましたが、鎖骨について一番わかって欲しいことは、鎖骨は胸の骨を中心にかなり自由度の高い動きができることです。
そして、肩こりに悩む多くの患者様は、鎖骨周囲の皮膚が硬い場合がほどんどなので、自由に鎖骨を動かせない場合が多いです。よって、肩こりでまず必要なのは、鎖骨周囲の皮膚をほぐすことです。
簡単なマッサージ方法
今回は一番簡単なマッサージ方法を説明します。やり方は、鎖骨の皮膚をさすることや、優しく皮膚をひっぱる(つねる)ことです。次に手順を説明します。
- 鎖骨周囲に触れて、硬い場所を探し、伸びにくい方向を確認する。
- その硬くて伸びにくい方向に向かって、皮膚をさするか、皮膚を引っ張る。
注意点は、鎖骨周囲は大事な血管や神経があるので、痛めると逆にひどい症状になる可能性もあります。よってマッサージの際は、あまり力を入れずに優しめにさすったり、引っ張ることです。