肩が固いのと、肩こりが絶対的に関係あるとはいえない
最近の研究で、筋の単純な固さと、肩こりは関係があるとはいえないようだとわかってきています。(参考文献1)色々な本や論文を調べて見ても、健常者と肩のこりを訴える患者様との間での、肩の筋肉の固さの違いはそれほどないと述べているものがあり、私の経験でも、肩の固さと痛みが絶対的に結びついているようには感じません。
先ほど説明したとおり、人の肩の筋肉は固くなりやすいものです。もしかしたら、人だから肩が固いといえるのかもしれません。
肩の固さと、こりが関係ある場合
しかし、筋肉を柔らかくすると楽になる肩こりがあるのは、間違いありません。それこそ色々な人の症例報告や、本、著名な先生方の話、自分の経験を総合すると、筋肉へのアプローチは、なぜ有効なのか確実にこれだといえるほどはっきりしていませんが、有効なのは間違いありません。
そして経験上、圧痛がある場合や、他の筋肉は柔いのに一部の肩の筋肉だけが固い場合、左右のどちらかの肩だけ固い場合、以前と比べて肩の筋肉が固くなっている場合は、これらの筋肉の固さは肩こりと関係ある場合が多いです。おそらくそれは、生活習慣、姿勢の歪みや、過度の運動、ストレスによる筋肉の疲労や緊張、循環不全によるものかもしれません。
肩こりの施術をする場合は、肩だけを見るだけでは不十分な場合があり、患者様のお話を伺い、それから患者様のお体をしっかりチェックして、アプローチをかける必要があります。
女性の肩が固くなりやすい理由
施術をしていると、よく女性の患者様が「私はいつも人に肩を揉んでもらったら、固いって言われるの。。。」と悩みを訴えることがあります。
実はこの悩みは多くの人が持つ悩みであり、肩が固くなる理由には大きく2つあります。肩が固くなる理由は、1つは「人だから」、2つは女性特有の理由があるからです。まず「人だから」というのは、人間は二足歩行で生活し、道具を使う手を自由に使わなければ生活できません。そして手を動かすためには、その上の腕を固定し、またその上の肩や肩甲骨を固定して土台を作ってから動作をする必要があります。だから根本にある肩は固くして、土台をしっかりさせないと作業がしにくいため、肩が必然的に固くなりやすいようです。
もし、体感でこのことを試したければ、背中を壁にピッタリつけて、肩を上げてみてください。そうすると何もせずに肩をあげるよりも、肩が楽に上がると思います。これは、体幹や肩を壁で固定すると、体幹や肩を固定するための筋肉をあまり使わなくて済むからです。
よって、人は、直立になり、手を使う作業が多いので、作業を安定させるためにどうしても肩の筋肉はこりやすくなります。
2つ目の女性が固くなりやすい理由は、女性は男性よりも筋肉量が少ないからです。筋肉量が少ないと、どうしても肩を固定するために筋肉をより強く使わなければならず、肩が固くなりやすくなります。